2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

秋 アリスミス

とても現代風の作品だ。この小説で取り扱っているテーマは複数ある。EU離脱でナショナリズムが跋扈するイギリス、現在でも女性の立場が弱い世界を(著者は日本なんて論外だと思っているかも)心配する声、そして読書や絵画、芸術の愉しみ。 101歳の老人のダニ…

やし酒飲み 

エイモス・チェツオーラのやし酒飲みを読んだ。とても楽しい読書だった。 奇想天外で神話のような世界。やし酒を鱈腹飲んでいるお金持ちの息子がある日、父が死にやし酒を彼に作ってくれたやし酒の名人が死に友人にも見放されたが決意してまだ天国に行ってい…

 ノモレ

国分拓のノモレを読了。とてもレベルの高いノンフィクションだ。NHKの映像作品の取材からこの作品が生まれた。 ペルーには古来から先住民が住んでいた。今から500年ほど前にスペインからゴムの木を目当てに西洋人がやってきた。スペイン人と先住民の衝突があ…

藤田嗣治 手しごとの家

こんなにグローバルに活躍する画家が日本にいたとは。インテリアや服装、食器類、全部自分の手作りだ。手先が器用で多才な人だったフジタ。戦前に中南米を2年間も旅したのはフジタぐらいだろう。当時、民間の航空機は無かったから船旅だ。フランス人の恋人と…

予告された殺人の記録

ガルシア・マルケスの本が400円で読めるなってお得だね。150頁ほどの中編小説であるが、中身が濃い。 マルケスのすごいのは複雑な人物相関図でそれがちゃんと繋がっている所だ。沢山の人物が登場してくるため、メモをとりながら読んだ。舞台はコロンビアの大…

神去なあなあ夜話

面白い。スラスラ読める。今度は冬だ。神去村の前回の後日談と歴史と平野勇気の恋の物語だ。勇気の妄想がすさまじい。もう変態の域。彼が想いを寄せる直紀さんと無事結ばれるのか?最後まで読めば分かる。 前作よりも少し勢いに欠けるがもっと神去村の事を知…

神去なあなあ日常 三浦しをん

最早説明不要の傑作だと思う。久しぶりに読み返した。やはり良い。都市部のストレスフルな生活に疲れた人、身近に自然が無い人にはオススメ。この小説から漂ってくるのは森林の豊かな香りだ。昔から俺は山とか川とか自然が豊かな土地に住むのに憧れていた。…