2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

金原ひとみ 持たざる者

金原ひとみの持たざる者を読了。4人からなる一人称のオムニバス式の小説である。それぞれ繋がっていて先の展開が気になる。金原ひとみの作品は内面の描写が多い。トルストイとかドストエフスキーのようだ。彼女の作品は粗削りだと言ってもいいが、それが金原…

綿矢りさ 手のひらの京

京都を舞台にした小説は川端康成の古都を読んで以来だが、面白かった。私自身は10年以上前に京都旅行に行ったが清水寺に行った事と鴨川に観光客が溢れかえっていた事以外は覚えていない。滞在したのも短かったのでまだまだ京都の奥深さは分かっていない。嵐…

日本を撃て

見沢知廉の日本を撃てを読了。絶版の本である。探すのにえらく苦労した。彼の数ある著書の中で本書が一番好きだ。見沢氏の小説は右翼や左翼の知識がないとよく理解出来ないと思う。その筋に詳しい人向けだと思うが彼のノンフィクションは誰にでも楽しく読め…

精霊たちの家

イザベル・アジェンデの精霊たちの家を読了。いや。すごい。ある一族の壮大な物語である。著者のアジェンデは故郷の軍事政権に掌握されたチリを去り亡命先のベネズエラで本書を執筆した。ラテンアメリカ文学のマジックリアリズムの要素は本書にもみられる。…

見沢知廉 囚人狂時代

久しぶりの再読。今改めて通読してみてやはりこの本は物凄い。12年間の刑務所暮らしの記録である。ノンフィクションなのが驚きだ。こんな世界が本当に存在するのだろうか。とても衝撃的な内容だった。見沢さんのいう通り刑務所の中はダンテの神曲の地獄の世…