2024-01-01から1年間の記事一覧

島とクジラと女をめぐる断片

大西洋の島に関しては疎い。日本から遠く離れたヨーロッパとアメリカ大陸の間にある海は日本人からすれば知らなくて当然だと思う。タブッキなりの紀行文。というか真実の物語と空想の物語が混ざったような不思議な読書。 タブッキはポルトガルをこよなく愛し…

ハツカネズミと人間

新訳感謝。新訳をきっかけに読んだ。年譜あり解説あり、とても読みやすい翻訳で文句なし。 スタインベックの作品は「怒りの葡萄」と「エデンの東」と「ハツカネズミと人間」が有名だ。 小柄で知的で頼りになるジョージと大柄で不器用で少しおつむが弱いレニ…

イジェアウェレへ フェミニスト宣言、15の提案 

アディーチェの書く本は興味深い。僕は彼女のフェミニストを支持する。日本のある批評家のフェミニストは男性嫌悪を煽ったり、母性を否定して子供を持ちたくないと言ってクレイジーだなと思う。 今まで女性の痛みはずっと見過ごされてきた。家父長制やミソジ…

戦場から生きのびて

僅か12歳で内戦に巻き込まれて少年兵になったイシメール・ベアの物語。僕は彼より八歳年下だが、彼と同じようにEricb &Rakimのヒップホップを聴き育ったので他人事のようには思えなかった。アフリカの内戦と聞くと部族同士の衝突を思い浮かべるが、シエラレ…

アイヌと神々の物語

38つの昔話。ここ一ヶ月アイヌの世界にどっぷりと浸っていた。アイヌの人々の生活に憧れている。俗世から離れて自然と調和して生きたい。自給自足の生活がしたい。アイヌの人々にとって熊は特別な存在だ。彼らは寒い冬を乗り越える為の毛皮を運んでくる。そ…

にごりえ 樋口一葉

樋口一葉は日本のジョージ・エリオットか、ジェーン・オースティンか。とても思慮深い作風。百年以上前の小説だが全く衰えない新鮮さがある。現代でも通用する面白さがある。流石、五千円札の肖像に選ばれた人だ。 わずか二四歳で夭逝した一葉だが、彼女の視…