失われた世界

 

 映画のジェラシックパークやロストワールドの題材になった物語。

 シャーロックホームズで有名なコナン・ドイルが冒険小説を書いていたのは知らなかった。失われた世界の翻訳は沢山あるが、光文社がいい。挿絵もあって脚注がある。文章も読み易い。

 

 南アメリカアマゾン川の奥深くに存在する台地には古代に絶滅したはずの恐竜が生きているとチャレンジャー教授が証言する。それを確かめるために新聞記者で語り手の青年マローンと勇敢で冷静なロクストン卿と恐竜の存在を疑っているサマリー教授と大胆不敵なチャレンジャー教授が案内役で旅に出た。

 

 この物語は1912年に出版されたが面白さという点では全く色褪せていない。寧ろ現代の小説はとても退屈だと思った。現代では世界中が知り尽くされているので驚きがない。当時はまだ、南アメリカアマゾン川が謎に満ちていたからだろう。ドイルの想像力が満ち溢れた物語だ。

 

 でも読んでいて疑問がいくつかあった。主人公が全員白人で、黒人とインディオ、女性は弱い立場として描かれている。今、現在の冒険小説を書くとしたらもう少し有色人種や女性への立場への配慮が必要だと思う。時代は変化していくのだから。