荒木飛呂彦の漫画術

 荒木飛呂彦の漫画術を読了。いやあ、これだけ綿密な準備をして漫画を描いているのは荒木氏ぐらいだろう。もう哲学の域に達してるレベル。徹底的に下準備をして自己分析して冷静に論理的に漫画を描いている。世界的にも人気のある彼の代表作でもある「ジョジョの奇妙な冒険」は長寿漫画だが、これだけ長く連載している漫画も珍しい。よく継続は力なりと言うが、一つの事を続けるには根気がいる上、体調管理も欠かせない。勿論、人気があるから読者の支持が得られるから作品を続けられる訳で、著者の飽くなき探究心には畏れいった。漫画をどうやって描くかのHow to 本だが、荒木氏の創作方法は実に論理的である。

 ジョジョの奇妙な冒険のあの独特なポージングはイタリアのバロック彫刻を見てインスピレーションを受けたそう。「漫画の絵で大切なのは、一瞬見ただけでも誰の漫画かすぐわかるように描くことだ」っと荒木氏は言う。言われてみればジョジョほど、個性的で強烈な画風は他に描ける人はいない。漫画家に限らず優秀なアーティストは皆、独創的である。例えばルノワールの絵をみれば彼の作品だと知らなくても分かる。宮崎駿鳥山明もそう。必要なのは強烈な個性。荒木氏の初期の作品ではジョジョのような独特な人物画でない。これは練習の積み重ねであって日々の鍛錬である。本書はクリエイター向きの内容だが、小説にも当てはまる 内容なので読んでよかった。