ヘミングウェイのキリマンジャロの雪を含めた短編集1と2を読了。また全短編を全て読んだ訳ではないが、本作を読む事によって少年時代のヘミングウェイやパリ時代の彼の実際の体験が色濃く反映されている。ある意味では半自伝的な作風だ。そして改めてキリマンジャロの雪も再読した。やはりいい作品だ。アフリカの光景が脳裏に浮かんでくる。読者の想像力を掻き立てる素晴らしい作品だ。ヘミングウェイの小説は自分自身の体験を下敷きにした作品が多い。当然、キリマンジャロの雪も彼自身のアフリカ旅行の体験が反映されている。もう一つアフリカを舞台にした作品の「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」も私は好きだ。狩猟に出かけたマカンバーは妻にカッコいい姿をみせようと意気揚々と狩に出掛けるが、案の定実際にライオンを目にする怖気ついて逃げ出してしまうのだ。そんな姿に妻のマーゴットは夫に大いに失望する。そんな中、狩猟のインストラクターをしているウィルソンは勇敢に冷静にライオンを仕留める。マーゴットはマカンバーに愛想を尽かしウィルソンに熱烈なキスをする。マカンバーは妻とウィルソンを激しく嫌悪するようになり名誉挽回のために今度はバッファロー狩りに出掛ける。結末には触れないがだいたいこんな感じだ。池澤夏樹氏も指摘していたが、ヘミングウェイの作品はやや男性主義が強すぎる気があるのは否めない。大きな動物を殺したら大人になれるとか、闘牛士が闘牛を平気で殺してしまうとか。ヘミングウェイは生涯、動物や自然を愛していたが、釣りや狩猟も大好きだった。ただ人間と同じ生き物を殺す描写があるのは少し文化の壁を感じた。銃はアメリカ人にとって欠かせない存在なのはよく分かったが。ただ短編に多々登場するヘミングウェイの分身の少年のニック・アダムスの鱒釣りや線路を歩く場面は、懐かしくどこかハックルベリーフィンの冒険ぽくて好きだ。
われらの時代・男だけの世界: ヘミングウェイ全短編 (新潮文庫)
- 作者: アーネストヘミングウェイ,Ernest Hemingway,高見浩
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勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪: ヘミングウェイ全短編〈2〉 (新潮文庫)
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