華氏451度

 華氏451度は映画がとても良かったので小説も読んでみた。沢山の書物からの引用があるので、本好きにはたまらない物語だ。旧訳と新訳を両方持っていたが新訳の方がいいと思う。焚書って言葉はちと古臭く新訳には相応しくないので昇火という造語を使ってたのが良いと思った。まず一番驚いたのは映画版の華氏451度は小説とは大分違うストーリーになっている事だ。小説ではクラリスという少女が登場するが映画には記憶が曖昧で申し訳ないが、確かそのような人物は出てなかったと思う。また原作では上司のベイティーをモンターグが殺害する筈だがこれも映画版には無かったと思う。それでもかなりの脚色が加えられた映画版も充分に楽しめる内容になっている。勿論、原作の小説も面白い。ディストピア小説といえば1984素晴らしい新世界侍女の物語と本書が定番だと思う。その中でも一番本書が読み易いと思った。登場人物が少なくストーリーもシンプルで何よりも長編というよりは中編小説ぐらいのボリュームだからである。歴史を振り返るとナチス焚書が有名であるが、実際に本は人間に多くの影響を与えるとても重要な存在なのだ。私も焚書なんて現実の世界で起きたら多分野たれ死んでいると思う。読書は精神安定剤であり、本を読むことは生きていくためのエネルギーにもなる。

 

 

華氏451 (字幕版)

華氏451 (字幕版)