ラガ 見えない大陸への接近

 

 今年の6月にフィジーに行ってきた。南太平洋の島である。常夏でフィジーの人々はインドからの移民の人やフィジー人の人が居てとても陽気で優しかった。

 一見、南国の島なので人々は賑やかでとても明るい印象を受ける。しかし歴史を辿ればアフリカやカリブ海の島々と同様に西欧による植民地争い、独立への血生臭い争い、とても悲しい過去があった。

 メラネシアポリネシアと呼ばれる地域の国々は多数ある。フランス領のニューカレドニア、同じくフランス領のポリネシア諸島の中心の島タヒチ、フィジー、バヌアツ、そのどれもが英仏の植民地支配を受けてきた。実際にニューカレドニアポリネシアはいまだに独立が出来ていない。

 1980年までルクレジオが訪れたバヌアツは英仏の共同統治領だった。首都はポートヴィラ。伝統的な文化、習慣が残っているラガ(ペンテコスト島)でルクレジオは現地の住民から多くの物語を聞いた。

 1863年リンカーン奴隷解放宣言後もメラネシアでは公然と奴隷制が行われていた。奴隷制はオーストラリアの法律で終止符が打たれる1903年まで続いた。

ルクレジオの紀行文はただ事実を羅列している文章ではなくとても詩的で美しい。