去年、ノーベル賞を受賞したアニーエルノーの作品が文庫化。事件と嫉妬の二篇を収録。
以下嫉妬の書評。
恋愛のもつれ。フランス文学だなと思った。この物語はエルノー自身の実体験かフィクションか分からないが(恐らく両方だろう) 誰もが陥るような嫉妬の苦しみを見事に表現している。エルノーの作品が多くの人から支持されるのは当然だろう。嫉妬の苦しみを軽減する為に紙に思ったことを書くのだ。
元交際相手の男の同棲相手に激しく嫉妬する。素性は知れず、47歳で大学教員だと分かっているだけ。後は何も分からない。男が警戒して教えてくれないのだ。語り手の女性は色々制限はあるが会うことは許されている。夜と週末を除いて。心理描写が上手い。現代のヴァージニアウルフかドストエフスキーだ。