キャロル

長らく読書から遠ざかっていた。理由は単純に読む意欲が湧かなかったからである。でももう2018年に入ったので少しずつだが、読んでいこうと思う パトリシア・ハイスミスのキャロルを読了。率直にいって大変面白い小説だった。レズビアン小説と聞くと同性愛者への偏見や誤解を感じる人もいるかもしれないが、私は同性だろうが異性だろうが好きになってしまえば関係ないと思う。クリスマスシーズンのニューヨークのデパートのオモチャ売り場で働くテレーズはブロンドの気品のある女性客に一目惚れしてしまう。テレーズは女性客のキャロルにクリスマスカードやカバンを送ったりとアプローチしながら二人の親密な関係は始まる。キャロルは離婚調停中の夫のハージと娘のリンディのどちらが引き取るか揉めている。キャロルも恋人のリチャードのと仲は冷めきっている。そんな仲二人はアメリカ横断の旅に出る計画を立てる。旅の道中の展開も大変スリルがあって面白く多くの伏線も繋がっていて夢中になって読んだ。最初から最後までよく出来ている小説だと思う。本書は1952年にハイスミスとは別名義で出版された。ハイスミスはこの作品をきっかけに自分が出版社によって勝手な同性愛者作家のレッテル貼りを心配して別名義で出版した。今でこそ同性愛への理解は認知されたいるが当時の社会的な風潮を考えると仕方ないかもしれない。実際に大手出版社からの発売は同性愛をテーマだからと断られている。仕方なく小規模な出版会社から発売されると100万部近く売れてハイスミスの代表作になった。映画化もされているのでツタヤに行って借りて観ようと思う。

 

キャロル (河出文庫)

キャロル (河出文庫)