水木しげるのラバウル戦記

 水木しげるは93歳まで生きた。もしかしたら若くして戦死していたかもしれないが。すごい強運の持ち主というか身体がすごい丈夫だった。たまたま歩哨の任務に就いていたら仲間が残る宿舎が敵から攻撃を受けた。自分だけが生かされた。敵からの空襲で片腕を失った。捕虜になってからは下士官から譲って貰った鉛筆で絵を描いた。マラリアで高熱にうなされるは飢えで意識が朦朧とするわでもうボロボロ。神様が助けてくれたのかもしれないと水木しげるは言うが正しくその通りだと思う。水木しげるは戦争の悲惨さを伝える語り手になった。上司からの体罰が凄まじい。敵よりも身内の方が怖かったと言う。全ては上司の機嫌しだい。そもそも人間扱いしていない。相手の攻撃から逃れて海軍の小屋に戻ったが「なぜ逃げた?皆死んだのだからお前も死ね」と中隊長からの一言。軍隊には失望した。それでも水木しげるは南方の自然豊かな景色を愉しんでいる風に思えた。現地人との交流も水木しげるの明るい性格だから打ち解けたのではないか。水木しげるの挿絵が満載なので大変良い。

 

水木しげるのラバウル戦記 (ちくま文庫)

水木しげるのラバウル戦記 (ちくま文庫)