眺めのいい部屋

フォースターの眺めのいい部屋を読了。すっかりハワードエンドを読んでからフォースターの小説にハマってしまった。翻訳の質があまり良くないので読む側にも読解力が必要になってくるが、その苦労を感じさせないほどこの小説は面白い。物語は主人公のルーシーがイタリアのフィレンツェを旅行する所から始まる。私自身もイタリア各地を旅行したがフィレンツェが一番好きな都市だった。私の個人的な感想だが教会や美術館よりもフィレンツェに住む人々が好きになった。非常に人生を楽しんでいるなという印象を持った。フォースターも自身のイタリア旅行の経験を小説の題材に使ったのだと思う。フィレンツェでのルーシーとジョージとの出会い。そこでの出会いで恋は実らなかったがイギリスに帰国後ルーシーとジョージは偶然の再会を果たす。ルーシーには既に婚約者のセシルがいたが、それでもジョージに魅かれている自分に戸惑う。ラストはハッピーエンドでやや平凡で何箇所か腑に落ちない部分もあるがそれでもフォースターの圧倒的筆力で最後まで読み通した。フォースターの人物描写とイギリスの豊かな自然描写は本当に美しいと思う。

 

眺めのいい部屋 (ちくま文庫)

眺めのいい部屋 (ちくま文庫)