無人島に生きる十六人

 

 日本のロビンソン・クルーソーだ。本書には無人島で遭難した時、生き残るための知恵がつまっている。でも現実の世界では無人島で暮らす事なんてほぼないが。今の豊かな文明社会からかけ離れた世界なので楽しみながら読んだ。

 

 これだけ長く読み継がれている本は珍しい。今手元にあるのは令和3年西暦2021年のだ。大抵、ロングセラーにハズレはないのでよく買う。明治31年、1898年に実際に太平洋の孤島でサバイバル生活をした16人の男たちの物語。実話というから驚きだ。

 

 創意工夫して自給自足の生活を始めるが、ロビンソン・クルーソーよりも大分、優しいと思った。まず最終的に仲間が全員助かる。皆協力して知恵を出しあって励まし合う姿が感動的だ。仲間割れしないのがいい。島に住むアザラシが人間に懐く光景は微笑ましい。この物語はロビンソンよりも大分平和的だと思った。ロビンソンは銃はぶっ放すは黒人は奴隷扱いするわでかなり激しかった。生き物は家畜として飼っていた。その点、十六人の男たちはアザラシを可愛がっていた。でも海亀は食用として飼っていたが。

 

 十六人はサバイバル生活を楽しんでいる風に見える。雨水を石油缶に貯めて水を確保する。主食は海亀の肉と草ブドウ。焚き火するのに使う薪は近くの新たに発見した小島から調達した。

 

 読んでいて前向きになれる読書だった。