森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて

 

 今の現代人の生活はとても豊かである。24時間、営業しているコンビニが家の近くにあって自動販売機が何処でも見つかる。豊かになったのは事実だが、人との繋がりがとても希薄になった。自然と動物と一緒に生きる生活に憧れる。物々交換が当たり前で自給自足の狩猟民族になったみたい。

 

 星野道夫さんの写真と文章はとても癒された。彼は旅行家であり写真家であり作家であった。写真を撮るのがとても上手い。ずっと記憶に残る絵になる写真を撮る。

 

 星野はワタリガラスの伝説を求めてカナダ、アラスカを隈無く取材する。現地のインディアンにとってはワタリガラスはこの世界の創造主でとても神聖な存在だった。北海道のアイヌ人が熊を神聖視するように。まだユーラシア大陸アメリカ大陸が陸続きで繋がっていた時代にエスキモー(アジア系のインディアン)がアジアからアメリカ大陸に移動した歴史がある。星野はその歴史を遡る。カナダ、南東アラスカからシベリア、カムチャッカ半島まで星野の旅は続く。