絵のある自伝

 安野光雅の画が好きでシェイクスピアちくま文庫のを集めている。この自伝には画が50点以上も入っている。安野の描く画は素朴で美しい。とても精神に良い影響を与えると思う。やはり彼も多くの画家がそうであったように旅行家だった。そして沢山の本を読んだ。僕と異なるのは彼が多くの人と会話して友人が沢山いる事だ。人とのコネクションは大事だなと思う。

 

 ゆっくり飽きずに読んだ。日本国内にも良い画家は沢山いるのだ。行ってみたい美術館がまた増えた。彼の出身地の島根県津和野町の津和野駅前に安野光雅美術館がある。森鴎外と同郷らしい。島根には行った事がないが、自然が豊かな土地で風景画を安野はそこで独学で学んだ。

 

 なんと言っても安野は戦争を体験している世代だ。1937年7月7日の中国侵攻の決定的な日だった。日本はお祭り騒ぎだった。話は逸れるが、やはり反省しないといけないよなと思う。安野自身も出兵した。1945年の事だ。もう終戦間際だったので敵の本土上陸を警戒した部隊に入った。終戦後はとにかく食糧不足に悩まされた。上京して共働きの教師になり、小金井に住んで三鷹の学校に勤務した。

 

決して堅苦しい自伝ではないので楽しく読んだ。安野の作品が海外で高く評価されるのも頷ける。

岡山県倉敷に大原美術館がある。ここは立派な美術館でいつか訪れてみたい。