宇宙に行くことは地球を知ること

 宇宙飛行士の野口聡一矢野顕子の対談本。今まで読むのを渋っていた。宇宙と聞いてとても難しいイメージがあった。でもこれほど読みやすいとは思わなかった。宇宙飛行に関して大分詳しくなった。

 

 野口の経歴がすごい。今までに2回の宇宙飛行の経験があって2回目の飛行は163日間の長期滞在。2021年12月の現在では3回目の宇宙飛行から帰ってきた。ベテランだ。宇宙ってこんなに身近な所にあったんだと思った。宇宙での滞在先は国際宇宙ステーション(ISS)。地球上空約400キロメートルを飛行している。案外近い。

 

 普段、野口はテキサス州ヒューストンのNASAで訓練している。宇宙飛行の一連の流れは、800時間に及ぶ地上での訓練。当日にロケットに乗り先端には宇宙船がある。無事発射してわずか6時間でISS到着。宇宙船とISSを繋げるのをドッキングという。宇宙船は移動の手段で住むのはISS。大気圏を突き抜けるとそこにはもう重力がない。無重力を体験するだけでも楽しそうだ。ISSの展望室のキューポラから見える地球が絶景だ。ISSは90分で地球を一周する。動きながら地球を観察出来るなんてすごい。野口のお気に入りはパタゴニアの氷河だ。

 

 野口の宇宙で体験したエピソードがすごい。ISSの外に出て宇宙を実際に肌で感じる。外に出る前に宇宙服の空気漏れがないか入念にチェックする。スペースデブリと呼ばれる宇宙ゴミ以外は何もない暗黒の世界。過去に約570人が宇宙に行った。その中で船外活動が出来るのはごくわずか。船外活動では二人一組になってISSの外部に掴まりながら慎重に移動する。もしデブリに当たって宇宙服が破けたら酸素不足であっという間に死んでしまう。とても緊張感がある世界だが、宇宙から眺める地球は美しい。

 

 宇宙飛行士になる為には物理や数学の知識が必要。実際に多くの宇宙飛行士は理系だ。でも民間人が宇宙に行く日がもう目の前まで来ている。人類の進歩って本当にすごい。ゾゾタウンの社長はもうすぐ宇宙に行く。ISSは地球から近い宇宙だ。だから宇宙ホテルや別荘をISSが飛んでいる近い宇宙に建設する計画もある。では月はどうだろうか。月への飛行は膨大なコストがかかる。月や火星のような遠い宇宙の惑星にも行けるようになる日が来るというから驚きだ。今トヨタが月面を走る自動車を開発している。未来では宇宙旅行が当たり前になっているかも知れない。そういう明るい希望が見えた。