いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画

 

 原田マハは世界中の美術館を数多く訪れている。旅をする目的は美術館を訪れることでもある。僕はとても彼女の生き方に共感した。ヨーロッパやメキシコ、アメリカまで実際に脚を運び美術館に行ってお目当ての画の前に佇む。それだけで十分に達成感がある。僕もそうだった。ロンドンまで行ってテート・ブリテンで実物のオフィーリアを観た時、感動したの覚えている。モスクワで見知らぬ女を鑑賞した時も同様に感動を覚えた。

 

 本書では26枚の名画を原田マハ氏が作家の生い立ちを含めて紹介する。

原田マハの最も好きな画家がピカソである。実際に彼女の小説にはゲルニカが題名を使われたりピカソへ敬愛を窺い知れる。原田マハは10歳の頃に倉敷にある大原美術館ピカソの「鳥籠」を観てからピカソの熱心なファンになった。日本の地方都市の美術館でピカソの絵が見れるなんて本当に凄い話!実際に倉敷まで足を運んでみる価値がある。原田氏の言う通りピカソは美術史に燦然たる名前を残した。ピカソの前衛芸術は既成のお堅いパリのサロンの度肝を抜かした。

 

 本書は今まで読んできた他の著者が出版した絵画紹介の本と重複作品があるが、原田氏の名画から読み取る観察力が素晴らしくて最後まであっという間に読み通してしまった。元々は画についての小説を書いている作家なので名画の紹介がとても上手い。西洋絵画だけでは無く、日本画家やメキシコのフリーダ・カーロの作品もあるのが嬉しい。ノルウェームンクの叫びは競売で最高額で落札されたそうだ。つくづくを思うのはやはりピカソは突出した才能の持ち主なのだと思った。