消えたフェルメール

 朽木ゆり子氏の消えたフェルメールを読了。面白かった。フェルメールの絵画に起こった盗難事件の話。1990年3月に アメリカのボストンのガードナー美術館でフェルメールの「合奏」とレンブラントドガの作品が何者かによって盗まれた。今も行方不明のまま。本作品は優れたサスペンス風のノンフィクション作品としても読めるしフェルメールの絵画案内としても読める。まだまだ知らない美術館が沢山ある事に驚いた。ご存知の通りオランダのフェルメールの作品は世界中に散らばっている。日本にも企画展でやって来る事もある。世界中で大人気だ。時間が経つと共にフェルメールの価値が上がってきた。丁度、プルーストフェルメールの絵に没頭してた時代はまだまだ無名な存在だった。寧ろ犯人は同時に盗まれたレンブラントの絵の方が目的だったのではないだろうか。

 

 ボストンのガードナー美術館は元々邸宅だったのを美術館に改装した。元々、富豪の邸宅だったのですごい豪華で華やかな美術館らしい。僕は「真珠の耳飾りの少女」が置いてあるオランダのマウリッツハイス美術館に行ったことがあるが、ものすごく豪華な美術館だった。絵もそうだが、建物自体も立派で完全に映画の世界だ。ガードナー美術館もその種類の美術館だと思う。持主で故人のガードナー夫人は西洋の美術品を蒐集して競売でフェルメールの絵を入手し日本や中国、アジアの国々にも旅行に行った美術品の審美眼に優れた人だった。

 

 一つ分かったのはフェルメールの絵画の最大の特徴は光の差し加減が絶妙だという事。まるで絵から光を放っているような気する。著者の朽木ゆり子氏は以前にもフェルメール関連の本を出版したフェルメールスペシャリスト。フェルメールに纏わる興味深い数々の事件を調査した本作品は世界の美術館の知識を深めてくれる良書。

 

消えたフェルメール (インターナショナル新書)

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