スーラ

 トニ・モリスンのスーラを読了。モリスンの本は時にとても難解である。それでも彼女の神話的な語り口はとても惹きつけられる。文体が叙情性があり美しいのである。本書はスーラとネルの少女同士の友情を描いた小説である。少女から大人になるまでの長い友情の物語だ。時にスーラの殺人の秘密を守り、ある時はネルの最愛の夫をスーラに寝取られ一時絶縁状態になるがそれでもネルにとってのベストフレンドはスーラなのだ。私のようなアメリカから遠く離れた極東の片隅に住んでいるアジア人には、本書に登場するアメリカ系アメリカ人の文化や風習はとても新鮮であり興味深い。モリスンの学生時代の修士論文はフォークナーとウルフの作品における自殺についてである。今まで私はヨーロッパ文学ばかり読んでいたがやはりアメリカ文学も面白い。特にモリスンのようにアフリカンアメリカの女性作家は私にとって全く新しい存在である。フォークナーに影響を受けた彼女独特の叙情性豊かな文章はやはり今まで無かった書き方である。彼女の他の本も読もう。

 

スーラ―トニ・モリスン・セレクション (ハヤカワepi文庫)

スーラ―トニ・モリスン・セレクション (ハヤカワepi文庫)