母と息子の囚人狂時代

見沢知廉である。私自身は中学校は一年の一学期を除いて全く学校には通わなかった。誰かにイジメられているという訳ではなく単純に勉強についていけなかったのが不登校になった理由だ。家に引きこもってドストエフスキーの本を読むようになってから見沢知廉の存在を知ったのだ。そして彼の言葉によって励まされた。「ヤンキー、アウトロードロップアウト、あんたらこそ文学を目指せ」と見沢知廉の著作の「日本を撃て」で述べてある。12年間の刑務所での償いの日々を過ごし、出所後小説家として文筆一本で生きている見沢知廉だからこそ云える言葉である。私も過去に色々あって一生罪の意識を背負いながら生きていかないといけない。見沢知廉ドストエフスキーよりも苦しみ悩み続けた偉大な人物だと思う。私もよく自殺出来たらどれだけ幸せだろう、死をもって全ての苦しみから解放されたいと思う時がある。劣等感、孤独感、乱れた私生活への罪悪感が苦しい。でも見沢知廉も苦しんでいたのだから私一人が辛いのではないとわかり安心した。母と息子の囚人狂時代は、母と子の絆により長期懲役刑に耐え得た男の話である。人間は一人では生きていけないのだ。見沢知廉には立派で理不尽な目に遭っても不満すらこぼさない強い母親が側にいたのだ。母と子の絆で駆ける虹の道。

 

母と息子の囚人狂時代 (新潮文庫)

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