母をお願い

 申京淑は韓国の女流作家だ。韓国では母をお願いは580万部の大ベストセラーとなり世界中で翻訳され日本でも出版された。読んでいて韓国は苦悩の国だなあとつくづく思った。トルストイドストエフスキーの作品のように心理描写が非常に多い。田舎から上京して来たオンマ(母親)はソウル駅で夫とはぐれ行方不明になってしまいオンマの家族が捜索するところから物語が始める。娘と息子と夫の立場からどれだけ母親が偉大な存在であったかが語られる。最後の結末もそうだしストーリーの展開も決して明るくはないがこの本を通して韓国の文化、生活が少しわかったので本書に出会えてよかった。

母をお願い (集英社文庫)

母をお願い (集英社文庫)